レバノンとイスラエルの衝突のエスカレートとレバノン駐留する国連臨時部隊はまもなくの任期が終了するのを前にして、レバノン南部に平和維持任務を確実に担当できる国際部隊を配置するよう、国際社会は呼びかけています。国連のアナン事務総長も、レバノンの平和維持活動に参加する可能性のある国の代表らに、31日にニューヨークの国連本部で開かれる中東安全保障部隊の設置に関する国際会議に出席するよう求めていました。しかし、世論は、「欧米の一部の大国が、一部の肝心な問題で態度が一致していないため、立案した国際部隊は何時、現地に配置できるか、今のところ予測できない」としています。
肝心な問題とは、次のいくつかを含んでいます。
まず、部隊構成の問題です。各方面の予測によりますと、将来の国際安全保障部隊は、レバノンとイスラエルの国境地域の安全を維持できる力を持つべきだとされています。イスラエルは、精鋭部隊である欧米諸国の軍隊でこれを結成することを希望しています。しかし、現状から見るとイスラエルを支持しているアメリカは既に、イラクとアフガニスタンでの戦争を理由として、レバノンの平和維持活動に参加しないことを明らかにしました。そして、ドイツも参加する可能性が低いです。ドイツの新聞『シュピーゲル』の世論調査によりますと、53%のドイツ人がレバノンに出兵するのに反対し、中でもユダヤ人団体は断固として反対の立場を取っているということです。ドイツのメルケル首相は29日、「ドイツの軍隊がコンゴやバルカンとアフガニスタンの平和維持活動で大きく消耗したことを考慮し、ドイツがレバノンの平和維持活動に参加することに賛成しない。しかし、レバノンの軍隊と警察官の育成に協力することはできる」と述べました。このほか、オーストラリアのダウナー外相は30日、「オーストラリアは既に、イラク、アフガニスタン、東ティモールとソロモン諸島などの地域に平和維持部隊を派遣しているため、レバノンの平和維持活動に参加するかどうかはまだ決めていない。出兵しても、『ある程度参与する』だけだ」と表明しました。
次に、部隊の指揮権の問題です。イスラエルは、NATO・北太西洋条約機構が率いる国際部隊をレバノン南部地域に配置することを希望するとの考えを示したことがあります。しかし、アメリカが出兵しない態度とアフガニスタンでの軍事行動などの影響を受け、NATOの出兵能力は別として、NATOは、出兵の問題を議事日程に提出していないことを明らかにしました。一方、中東地域で伝統的な利益と影響力を持っているフランスも一貫して、NATOの部隊をレバノンに駐留させることに反対しています。このため、将来の国際部隊の指揮権を明確にしないと、レバノンに平和維持部隊を配置することは、なかなか実現できません。
第3に、部隊配置の目標を決める問題です。これは、レバノンの将来の平和維持活動に関わる重要な道筋でもあります。しかし、今のところ、この問題において、欧米諸国の間に大きな意見の食い違いが存在しています。アメリカとイギリスなどは、早期にレバノン南部に国際部隊を派遣し、レバノンにいるヒズボラの武装解除し、根本的にレバノンとイスラエルの衝突を解決するよう求めています。一方、フランスとドイツは、レバノンとイスラエルの停戦が主要な目標だと主張しています。フランスのシラク大統領は29日、イギリスのブレア首相との電話会談で、「フランスは、国際社会がレバノンとイスラエルを調停するよう希望している。関係各方面が政治的な協議を達成した上で、レバノンに国連の資格を持った国際部隊を派遣すべきだ。この協議は、国際部隊を派遣する不可欠の条件だ」と述べました。
欧米諸国が国際部隊の配置問題を巡って論争を行っているうちに、イスラエルの戦闘機は30日、レバノン南部の村カナを空襲し、少なくとも51人が死亡しました。この大きな悲劇に直面して、世論は、関係各方面が早期に共通認識に立ち、国際安全保障部隊の配置を行い、レバノンとイスラエルの衝突を解決するよう希望しています。
|