いま北京で開催中の宇宙空間研究委員会会議で関係者は、中国の月探測のための準備活動は順調に進み、来年計画通りに月探査衛星を打ち上げると発表しました。
2003年と2005年に、中国は、有人宇宙飛行をそれぞれ成功させています。世界の宇宙空間科学界は、中国には月を探査する能力があるとしています。中国は、2年前に「嫦娥計画」という月探査プロジェクトを稼動させると発表し、来年に初めての月探査衛星を打ち上げるためいま各方面で努力しています。中国国家航空宇宙局の孫来燕局長は、この会議で、中国は計画通り、来年、この衛星を打ち上げると強調したあと、「月探査衛星を来年打ち上げる。私たちは、この新しい衛星の開発で、技術的ないろいろな問題にぶつかるだろう。これらの問題が解決できれば、計画通りに衛星を打ち上げることができる」と述べました。
「嫦娥一号」と名づけられたこの月巡回探査衛星が、計画通りに打ち上げられれば、地球から40万キロ以上離れた空間での中国初の飛行が実現するのです。孫来燕局長によりますと、関係部門が、関連活動を急ぎ、衛星とその搭載ロケットは生産段階に入り、関連の探査とコンコロールの設備やシステム、および打ち上げ基地と地上応用システムはすべて実験段階に入ったとのことです。
中国の「嫦娥計画」は3つの段階に分けて実施されます。それはまず、来年に月探査衛星を打ち上げ、月を巡回して1年間の観測を行います。次に2012年前後に、探査船を月の表面に軟着陸させ、探測を行います。そして2020年前後に月の土壌サンプルを地球に持ち帰るのです。中国宇宙飛行士養成センターの楊利偉副主任は、「いま中国は、衛星による巡回飛行の実施だけを計画している。有人による月巡回飛行や月着陸などは計画に組み入れてはいない。したがって、中国では、月着陸の飛行士を養成してはいない」と話しました。
この会議で孫来燕局長は、月探査プロジェクトは複雑で大規模な科学プロジェクトであり、中国はこの面での国際間の協力実施の可能性は排除しないとした上で「『嫦娥一号』の開発がほぼ完成したため、衛星開発分野では大規模な国際間の協力の可能性は少ない。しかし、これからのプロジェクトの実施では、開放的な姿勢を以って国際間の協力のパートナーを探す」と話しました。
孫来燕局長によりますと、中国は、月探測プロジェクトを実施するほか、衛星による太陽の観測と火星探測を計画しています。また中国は、他国のこの分野を支援を得るため、外国と協力を行っていくのです。
今回の宇宙空間研究委員会会議に出席した外国の科学者と政府関係者は、中国の宇宙空間探測計画に大きな興味を示しています。NASA・アメリカ航空宇宙局のハルトマン氏は、「中国とアメリカは、宇宙空間の探測分野で協力を行うことについて、まもなく交渉を始める」と発表しています。
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