中国科学院と中国工程院院士大会が5日北京で開かれました。この開幕式で中国の胡錦涛国家主席が挨拶し、中国は国の経済と社会の発展に有用な科学技術の支援に向け、今後新体制の整備を急ぎ、人材養成と選抜システムを改革していく考えを表明しました。

 　中国科学院と中国工程院は全国の科学技術と工程技術の面での最高の頭脳であるとともに、科学技術分野の人材養成における重要な基地でもあります。2年に一度開かれるこの大会の開幕式で、中国の胡錦涛国家主　席は、「技術革新志向型人材の養成を国の一つの重要戦略とすべきだ」と述べました。

　「革新的科学技術人材を養成することは革新力を高め、また革新型国づくりにとって、必要なことである。我々は人材が最も大切な資源であるという考え方を堅持し、科学技術人材チームの整備に力を入れなければならない」と話しました。

　この20年、中国の科学技術事業が急速な進展を遂げています。優秀な人材を養成し、一部の重要分野における研究開発力は先進レベルに達しました。ところが、世界の技術の発展から見れば、中国の科学技術事業は、また厳しい困難に直面しています。これについて、胡錦涛国家主席は「我が国の科学技術の相対的レベルは世界の先進国と比べて、かなり大きな格差がある。特に自主的な開発能力が高くない、発明による特許件数が少ない。カギとなる技術面で外国に対する依存度が高く、ハイテク産業が企業全体に占める比率が低く、多くの研究成果の産業化が実現できない、優れた人材が少なく、研究開発システムには多くの弊害が存在している」と指摘しました。

　このような状況に基いて、今年の初め、政府は国の中長期科学技術発展計画要綱を制定し、優秀な人材を育て、また彼らにとって魅力ある良好な環境や条件を創り出すという方向性を明らかにしました。また、今後15年かけて、技術革新志向型の仲間入りを目指す戦略を定めました。

　現在、中国政府は「革新的な人材がなければ、革新志向型の国を作ることができない」ということを十分認識しています。5日に開かれた大会で胡錦涛国家主席はこの面の人材を見つけ出し、さらに育てるため、体制面で改革するほか、効果的な人材管理体制と方法を作り出さねばならない」と強調しています。

　「各部門の指導者は主導的な役割を発揮するとともに、資源配分における市場の役割を生かして、人材の養成、雇用、評価、配置、異動などの面での体制を健全化すべきこと、また、企業が技術革新における主体的役割を十分発揮して、科学技術への投資を拡大すること、また、科学技術革新の促進と成果の応用で法的な保障を提供するため、知的所有権制度を改善しなければならない」と強調しました。

　胡錦涛国家主席はまた、「今後中国は、今までの単純な「詰め込み教育」ではなく、資質教育に力を入れ、学生の学びに対する積極性を喚起していく。また、科学技術についての普及活動を一層広め、科学技術による刷新を奨励する環境を作っていく。それと同時に、大量の優秀人材に魅力ある環境を作り出さねばならない。様々なやり方で海外留学生の帰国と創業を促し、特に海外の優れた人材や中国の経済成長にとって必要とされるトップレベルの人材を導入しなければならない」と述べました。