ロシア外務省のカムイニン報道官は20日、「ブシェール原子力発電所プロジェクトでイランとの協力停止を求めるアメリカの要求は法的根拠がない」と声明を発表しました。
世論は「イラン核問題の長期化に伴い、ロシアとアメリカの隔たりが大きくなっていく」としています。
この18日から安保理5カ国とドイツがモスクワでイランの核問題をめぐる協議を行い、会合は合意に達せず終了しました。
19日、アメリカのバーンズ国務次官はブシェール原子力発電所プロジェクトを含め、イランとの原子力協力を停止するようロシアに要求したほか、イランに対する軍事転用可能な商品の供給停止を関係諸国に要請しました。
これに対し、ロシアのカムイニン報道官は「安保理に一国との協力停止を要求する権利はある。安保理ではイランとの原子力協力停止を要求する決議が採択されていない。ブシェール原子力発電所への技術で原子炉が核兵器製造に転用される可能性がなくなり、この原子力発電所はイランのウラン濃縮活動と何の関わりもない」と述べました。
同じく19日、ロシア軍のバルイエフスキ総参謀長はモスクワでNATO・北大西洋条約機構欧州連合軍の最高司令官と会見しました。
会見の後、バルイエフスキ総参謀長は「アメリカのイランへの武力攻撃が発生すれば、ロシアは両方とも支持しない」と表明しました。
一方、バルイエフスキ総参謀長は「イランへの対空ミサイルシステム売却契約を履行し続ける。総額が14億ドルで去年末に結んだこの契約により、ロシアはイランに対空ミサイルシステムを30基供給することになっている」と語りました。
核拡散防止は国際社会が公認する基本原則であり、イランの核兵器開発への反対はロシアを含め、国際社会の共通した立場となっています。
イラン核問題の解決に当たって、関係諸国はそれぞれ自国の利益と外交政策を考慮しています。
ロシアなどの国は国際関係における民主と平等の原則に基づいて外交ルートによる政治的解決を主張し、アメリカは制裁から武力行使など強硬措置を主張しています。
世論は「イラン核問題への対応でアメリカとロシアがそれぞれの国家利益と戦略目標を求めている。アメリカは西側の主要国と合同してイランに圧力を加え、自国の安全保障を守り、国際社会における一国主導の地位を確保する。イランと大きな戦略、経済利益関係を維持するロシアは制裁と武力行使に反対し、核問題での外交努力によって自国の影響力を増強させ、大国の地位を擁護する。いずれもイランの核兵器開発に反対するロシアとアメリカは問題解決で平行線を維持していくだろう」としています。
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