7月の1日からイギリスはルクセンブルクに替わって今年下半期のEU議長国を勤めていますが、イギリス政府は当日発表した白書で、EUの中期予算問題の解決をトップの課題にすると発表しました。これに対し世論は、「イギリスが6ヶ月という任期内でこの問題を解決することは難しい」と見ています。
EUの中期予算とは、EUの2007年から2013年までの財政計画のことですが、一部のEU加盟国は新しい財政予算ではイギリスの還付預金の全額保持をいう権利獲得を望んでいませんでしたが、分担イギリスはこの権利の獲得を求め続け、また、共通農業政策による補助金制度の堅持を主張したため、6月中旬に行われた物別れに終わりました。つまりEUの予算問題も行き詰まり状態に陥ったのです。
イギリスのストロー外相は、6月29日、「もっと合理的で理性的なEUの予算を制定することは、イギリスの任期内の主要目標である。6ヵ月後にイギリスの議長国という任務が終了する際、EU諸国が予算の面で合意に達することを期待する」と述べています。
欧州委員会のバローゾ委員長は合意に達するには、各側の意見に統一が必要だと強調しましたが、これまで、イギリスは還付預金の問題ではその立場を変えていません。
ところで還付預金は、EUがイギリスに与えて特別政策ですが、イギリスがこれまでEU が提供した財政資金額が、その享受している財政補助額と異なるためにとられた政策です。イギリスは毎年、平均して、50億ポンドの財政資金を提供しているものの、イギリスの農業規模を小さく、毎年EU から受け取る農業補助金は想定的に少ない状態にありました。このため、イギリスのサッチャー元首相は1984年に、毎年、その予算からEU はイギリスのために一定の還付金を提供することでEUとイギリスは協議に達しました。そしてここ20年余りこのかた、イギリスへの還付金額はすでに500億ポンドに達し、イギリスの農業はこのおかげで速い発展を遂げてきたのです。このため、EU 内にはこれまでのイギリスへの還付金ン提供を取り消すという要求する声が高まっています。しかしイギリスはこの問題で、後に引こうとはしなかったのです。
このイギリスの強硬な態度に対し、フランスとドイツなどEUの主要加盟国は、イギリスへの還付金の継続提供に強く反対しています。ドイツ政府は先週正式文書を発表し、「イギリスはEU の予算問題で、農業補助に使う金額の比率が多いことは、EU が農業政策での重要な変革をまっさつするものだ」と指摘しました。
フランスもイギリスと真っ向から対立しています。フランスはEU の 農業補助政策から最大の利益を得た国です。ですから、イギリスが農業補助金を減少し、はてはその取り消しを要求して、フランスに圧力をかけましたが、これに対しフランスはイギリスの還付金待遇は行きすぎだとして、補助金提供問題の再検討を強く要求したのです。
つまり、EUの予算問題はイギリスが議長国とし直面している大きな試練だといえましょう。
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