北京の中心地に残されている胡同の中にある「中央戯劇学院」。「戯劇」の中身は、中国では、「新劇、伝統劇、オペラ、舞踊劇」にあたり、この大学は教育省直轄の舞台人の育成を中心とした機関です。

（学校の玄関）

　ここ数年、映画界やテレビ界などでは、この大学出身の芸術家やスターの姿をよく見かけるようになりました。「大地の子」のお父さん役の朱旭、姜文、コン・リー（巩俐）、チャン・ツィイ―（章子怡）、「山の郵便配達」の主役・劉燁などです。

　大学は、1950年4月に設立されましたが、当時の全国有数の芸術系学校、延安魯迅芸術学院、華北大学（現在の中国人民大学）文芸学院、南京国立専門学校を統合したものです。以来、中国の舞台界で輝かしい存在だった欧陽予倩、金山、曹禺、光未然などが院長などの管理職を担当してきました。

　学部のほか、修士、博士課程の大学院も設けられています。演技、演出家、戯劇文学、舞台美術、映画テレビなど6学部、舞台や映画テレビ、ミュージカル、舞台照明、衣装デザイン、化粧、コンピューター美術デザイン、演技歴史、中国と西洋の新劇の歴史、などの15専攻に分かれています。

（学校の舞台）

　専属教師が216人おり、国内外の著名な専門家や学者を客員教授、非常勤教授として招いています。専属教師の中には、国の人材育成計画の「新世紀千百万人材」で国家級人材に選ばれた1人、政府の特別手当を受けている10人、教育省の人材育成計画・「世紀をまたがる人材支援計画」に選ばれたのは1人、教育省の優秀人材援助計画に選ばれた1人がいます。このほか、新劇の「ゴールドライオン」賞、「中国曹禺文学賞」、「霍英東教育基金青年教師賞」なども獲得しています。

　多くの優秀な芸術家や俳優を養成できるのは、この大学の地道な教育と深い専門知識によるところが大きく、芸術の夢を抱く若者の憧れになっています。毎年、応募者が殺到し、今年は300人の募集に5000人が応募したということです。

　1951年から国費と私費の留学生を募集し始めました。現在は、日本、韓国、モンゴル、シンガポール、アメリカ、カナダ、イタリア、オランダ、ブラジルなど20カ国からの70人の留学が学んでいます。そのうちに、日本からは20人で、学部で演技などを勉強しています。留学生が選ぶ専門は主に、映画・テレビ、演技、文学などに集中しています。

　ここでは、自分の専門以外にも、昆曲、京劇など中国伝統劇の発声方法や動作なども学ぶことができ、カリキュラムもユニークです。

　次回は、今留学している日本学生の話を聞きながら、食堂、寮、イベントなどを紹介します。（朱丹陽　大沢）